皮膚科でニキビ薬として処方されるダラシンTゲルとディフェリンゲル

ニキビの専門外来ができるほど、ニキビを皮膚科で治すことも一般的になってきた昨今ですが、皮膚科ではどんな薬が処方されるのか知っていますか?

 

ここでは、皮膚科でよく処方される2つの薬、ダラシンTゲルとディフェリンゲルの使用方法、副作用、注意点について確認していきましょう。

 

ニキビの薬ダラシンTゲルとは

 

ダラシンTゲルは、ニキビの原因菌であるアクネ菌とブドウ球菌を殺菌し、化膿してしまったニキビの治療に用いられる薬です。無色透明のゲル(ゼリー)状になっているので伸びや馴染みが良く、塗っても目立ちません。

 

使用方法

 

ダラシンTゲルの使い方は、とても簡単です。以下の手順で1日2回、洗顔後にニキビにつけるだけです。

 

  1. 皮膚表面に汚れが残らないように、しっかりと丁寧に洗顔する
  2. ニキビが出ている部分にダラシンTゲルを塗る

 

手順1で肌に汚れが残っていると、ダラシンTゲルの効果を最大限に引き出すことができません。ダラシンTゲルは、ニキビが出ている部分にだけ塗る薬です。手順2では、全体に塗り広げないように注意しましょう。間違った使用は、ダラシンTゲルが効かない耐性菌を発生させる原因になるので注意しましょう。

 

なお、化粧水などの基礎化粧品は、必ずダラシンTゲルを塗る前に使用するようにしてください。後に化粧水を使ってしまうと、ダラシンTゲルが塗る必要のない部分にまで付いてしまう恐れがあるので気をつけましょう。効き目はゆっくりのため、数日程度でその効果を得ることはできません。少なくとも1週間程度は様子を見るようにしてください。

 

副作用について

 

ダラシンTゲルには、次のような副作用が考えられます。しかし、いずれの副作用も実際に起こった頻度はとても低いです。重篤になった例もほとんどありません。

 

  • 皮膚症状:つっぱり感、パリパリ感、脂性肌、グラム陰性菌毛嚢炎
  • 過敏症:発赤、蕁麻疹、刺激感、ヒリヒリ感、接触皮膚炎
  • 肝臓:AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P・総ビリルビンの上昇、ウロビリノーゲン陽性
  • その他:白血球・血小板の増加、総コレステロール低下、尿蛋白、尿糖、消化器障害

    加えて海外では、偽膜性大腸炎など血便を伴う重篤な大腸炎が報告された例もあります。

 

使用上の注意点

 

次に挙げる人は、ダラシンTゲルの使用を控えてください。

 

  • ダラシンTゲルに含まれるクリンダマイシンリン酸エステルなどの成分や、リンコマイシン系の抗生物質によって過敏症を起こしたことがある人
  • なんらかの抗生物質を服用して下痢の症状が現れたことがある人
  • アトピー体質の人
  • 妊娠中の人
  • 授乳中の人
  • 子ども

 

個人差はありますが、抗生物質で副作用が生じやすい人やアトピー体質の人は、大腸炎になったり急激なアレルギー反応を起こしたりする場合があります。事前に医師や薬剤師に相談しましょう。妊娠・授乳中の女性や子どもに対しては、安全性が確立されていません。

 

加えて、エリスロマイシンや末梢性筋弛緩剤との併用には注意が必要です。エリスロマイシンは細菌へ働きかける力がダラシンTゲルより強いため、ダラシンTゲルが効かなくなってしまう恐れがあります。また、末梢性筋弛緩剤を併用すると、ダラシンTゲルのもつ神経筋遮断作用により、筋弛緩剤の効力が増強されてしまうことが考えられます。

 

なかには、ダラシンTゲルに耐性を持つアクネ菌やブドウ球菌もいます。使用し続けているのに効果が出ない場合は、もう一度皮膚科の医師に相談してみてください。また、ニキビが治っても塗り続けると、耐性菌を増やすことになりかねないので止めましょう。

 

ニキビの薬ディフェリンゲルとは

 

ディフェリンゲルは、2008年に認可された新しいニキビ治療薬です。ニキビ治療薬には原因菌を殺菌することでニキビを改善するものが多いですが、ディフェリンゲルはニキビの原因となる毛穴詰まりに作用します。初期のニキビにも効く画期的な薬ですが、副作用が起こる頻度が高いので、使用には注意が必要です。

 

使用方法

 

ディフェリンゲルは1日1回、寝る前に使用します。使用の手順は以下の通りです。

 

  1. 低刺激性の洗顔料でやさしく洗顔する
  2. しっかりと保湿する
  3. ニキビとその周りにディフェリンゲルを適量塗る

 

ディフェリンゲルは肌を乾燥させやすい性質を持っています。そのため手順1の洗顔料は、乾燥を少しでも軽減させるために低刺激のものを選びましょう。そして、いつも以上に入念に保湿することが大切です。

 

また、肌荒れなどの副作用が出やすい薬なので、たとえ前日に塗り忘れたとしても、1日に1回だけ指示された用量を守って使用しましょう。

 

ディフェリンゲルは、すばやくきれいにニキビが治る薬ではありません。2週間以内に肌荒れなどのトラブルが起きることも多いです。肌トラブルが落ち着き、しっかりと効果が確認できるまでには1〜3ヶ月くらいの期間が必要です。

 

副作用について

 

患者を対象とした臨床試験において、78.9%の人になんらかの副作用が報告されています。その中で最も多いのは皮膚乾燥で56.1%、つまり半数以上の人に症状が現れたことになります。次いで皮膚不快感47.6%、皮膚剥脱33.5%などと続きます。ディフェリンゲルで起こりうる主な副作用として、次のようなものが挙げられます。

 

  • 皮膚及び皮下組織:皮膚乾燥、皮膚不快感、皮膚剥脱、紅斑、皮膚炎やアレルギー反応による諸症状など多数
  • 感染症:単純ヘルペス
  • 肝臓:血中ビリルビン・AST(GOT)・TL(GPT)・γ-GTPの増加
  • その他:血中コレステロールの増加

 

このように副作用の多いディフェリンゲルですが、生じやすいのは比較的軽度な皮膚症状がほとんどです。

 

皮膚トラブルのような副作用が多いのは、ディフェリンゲルに皮脂の分泌を抑える働きがあるためです。使用を始めてから2週間以内に副作用が出はじめ、その後、徐々に回復していくのが一般的です。回復しない場合は医師や薬剤師への相談が必要です。

 

使用上の注意点

 

ディフェリンゲルは、次の人には使用できません。

 

  • アダパレンなどディフェリンゲルに含まれる成分で過敏症を起こしたことがある人
  • 妊娠中の人、妊娠の可能性がある人、妊活中の人
  • 授乳中の人
  • 12歳未満の子ども

 

動物実験でディフェリンゲルを与えられたラットとウサギの胎児に奇形が生じやすくなったとの報告もあるので、少しでも妊娠の可能性があったり近々妊娠を考えていたりする場合は、使用してはいけません。

 

また、副作用が起こるのを抑えるため、ディフェリンゲルを使用している間は皮膚にほかの刺激を与えないよう注意しましょう。具体的には、イオウやレゾルシン、サリチル酸を含む製品、スクラブ入りの洗顔料、乾燥が強く出る石鹸、香料、アルコールなどが刺激になりやすいです。

 

例えば、思春期ニキビに効果的なファーストクラッシュは、保湿成分が入っていてマイルドに洗い上げることができる洗顔料ですが、サルチル酸が配合されているためディフェリンゲルとの併用は控えてください。

 

使用していて乾燥などがひどくなる場合は、塗る回数を2日に1回にする、塗って5分経ったら洗い流すなど使い方を工夫できないか、医師や薬剤師に積極的に相談してみましょう。

 

まとめ

 

皮膚科ではダラシンTゲルやディフェリンゲルのほかにも、いろいろなニキビ治療薬が使われています。処方薬は、体質に合う薬であれば大きな効果を発揮してくれますが、体質に合わない場合は副作用が出てしまう厄介な面もあります。おかしいなと感じたら、すぐに医師や薬剤師に相談することが大切です。

 

できてしまったニキビの治療も気になるところですが、ニキビ対策で一番大切なのはニキビをつくらないようにすること。ニキビ予防にはファーストクラッシュを役立てましょう。